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 顧問契約について


 1.顧問契約後の具体的な流れ
 2.顧問弁護士契約における5つの誤解
 3.相談事例

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1.顧問契約後の具体的な流れ



2.顧問弁護士契約における5つの誤解

1)
「今まで弁護士に頼む仕事や
トラブルはないので顧問弁護
士は不要。」は誤りです。
 社長の仕事は,どのような事に時間を割いているかという観点から分類をすると,
 @現状維持 A問題解決 B機会追求 の3つに分類できます。
 まずB機会追求の時間を十分とっている場合,そのアイデアないし情報をどこまで信用できるのかからはじまり最終的にはその実現ないし活用にはどのような障害があるかを検討しているはずです。この場合「参謀」「相談役」を得意とする当事務所に相談しないというのは機会の喪失です。
 次にA問題解決の時間です。頭の中で堂々巡りの議論をしていませんか。経営の補佐達も問題の本質を十分とらえていますか。この場合「参謀」「相談役」を得意とする当事務所に相談すれば,時間の節約になりますし,トラブルをチャンスに変えることすらも可能な場合があります。
 最後に@現状維持です。現状維持といっても,会社が開かれた社会を対象としている以上,観光変化に対応する努力がなければ会社は瞬く間に倒産してしまいます。
 何を変え,何を変えてはならないのか。この場合「参謀」「相談役」を得意とする当事務所に相談しない手はありません。会社内部ではなく,客観性を有した「参謀」「相談役」の活用こそが,現状を維持し,「先細り状態」から脱出する王道です。
 ここまででおわかりでしょうか。「今まで弁護士に頼む仕事やトラブルはない」は幸いなことではなく,危険を示す信号が点滅している状態なのです。
      
2)
「トラブルに巻き込まれて
から弁護士を頼もう」は誤り
です。
 事案によると不可能ではありません。しかし大部分の事案は不満足な結果に終わります。その理由は3つです。当事務所では「先行作業」と銘打ち会社を理解したうえで各種「参謀・相談」業務を行うものです。この「先行作業」なくして戦うのはまさに「竹槍をもって最前線に赴く」ようなものです。第2に,既に勝負がついている場合があります。「こんな事ならもっと早く相談にくれば良かった」という切ない発言は珍しいものではありません。第3に,他の仕事との兼ね合いです。どうしても事業主・会社経営者の仕事を最優先します。気の毒だ。引き受けてあげたい。と思ってもお断りする場合があります。顧問契約をおすすめします。
3)
「経営問題はあっても法律
  問題はない」は誤りです。
 間違い1で述べたように,経営問題と法律問題はその区別は曖昧であり,さらに同根問題,すなわち問題の根っこは同じです。会社内部ではなく,客観性を有した「参謀」「相談役」の活用を一度でも体験すると,問題をいかにして発見するか,そしてその解決をシステマティックに行うことで,チャンスにするという醍醐味を味わってはいかがでしょうか。
4)
「うちには既に相談役や
法務部のようなものがある
から顧問契約は不要です。」
は誤りです。
 当事務所は,「法務部の代わりをする」ものではありません。そもそも法務部のかわりをしている法律事務所は東京の一部の事務所を除いて,存在しません。むろん一部肩代わりをしているというのであれば,そのような事務所は存在します。しかし法務部が不要となるような業務を行っている事務所は基本的にないと思っていただいていいと思います。
 では当事務所は何をするのか。
 当事務所は経営者の「参謀・相談役」です。会社の実態を正確に把握し,あり得るべき状態を想定し,経営における課題を発見し,本質的な問題を特定,定義し,現実の解決を模索するという,経営者に課せられた使命の手助けを行うことこそが当事務所の仕事です。
 法務部や相談役が存在しても,それは経営者の手足にしか過ぎません。当事務所は経営者の頭を補佐する参謀なのです。
5)
「顧問弁護士契約しても
利用しないかもしれない。」
は誤りです。
 当事務所は経営者の「参謀・相談役」です。会社の実態を正確に把握し,あり得るべき状態を想定し,経営における課題を発見し,本質的な問題を特定,定義し,現実の解決を模索するという,経営者に課せられた使命の手助けを行うことこそが当事務所の仕事です。
 会社経営を行わないなら,当事務所の利用はありません。しかしそのような会社は倒産するだけです。
 どのような相談があるのかについて,相談事例を用意しました。ご査証ください。

3.相談事例

 【 目 次 】


 相談事例1.「こんなに一生懸命やっていますが…」
 相談事例2.組織管理「いきいき職場づくりで辞めちゃうの?」
 相談事例3.健康診断で異常だけど減量できない
 相談事例4.「外国人労働者」
 相談事例5.「我が社が改造したのではないのに」
 相談事例6.「こうなれば新事業だ」
 相談事例7.「提案セールスの落とし穴」
 相談事例8.「経営再建〜船頭多くして船山に上る?」
 相談事例9.「契約書の落とし穴」
 相談事例10.「それを言っちゃおしまいよ」
 相談事例11.「エリート部長の挫折」
 相談事例12.「親の七光りそれとも真打ち登場?」
 相談事例13.「桐島、部活やめるってよ。桐島物産倒産です」
 相談事例14.「医は仁術。」
 相談事例15.「経営なんて医学部で習っていない」
 相談事例16.「お客様第1主義のはずでしたが・・・。」

【 事 例 】
相談事例1

「こんなに一生懸命
   やっていますが…」
はじめに 当事務所は企業の顧問として問題の解決の手伝いをしている。この相談事例も当事務所の業務の範囲である。A社従業員乙は一生懸命仕事をやっているように見える。人の仕草は傍から見ると滑稽なことが多い。しかしこの事例はいくつかの重要な問題がある。何が問題なのか検討して欲しい。
  
1 登場人物(甲;A社社長,乙;A社従業員)
2 事案
 @A社は,OA機器販売会社である。乙はA社の第1営業部で働いている。
 A第1営業部は,部内の受注の出荷手配,仕入れ,販売計画とりまとめ,予算
  管理,販促の企画立案,庶務を担当している。第1営業部の構成は部長を筆頭
  に,乙を含め5人で構成されている。
 B乙は入社10年である。役職はない。
 C甲は「労務の管理」を名目に第1営業部部長に対し,その部下である乙の現実
  の仕事ぶりを報告させた。
  第1営業部部長は,乙に対し,その業務遂行において差し障りがないかを聞い
  た。以下は営業部長と乙の会話である。
 D乙 :「毎日業務に追われ,どうにかならないのかというのが本音です。
     我が部は慢性的な人手不足です。新規採用を会社が考えてくれないと
     困ります。」
  部長:「穏やかではないね。乙くんの昨日の仕事ぶりを簡単に説明してくれ
     ないか」
  乙 :「わかりました。私は始業5分前に出社しました。そして一昨日やり残し
     ていた営業実績集計表の作成を始めていました。同表はその日が締め切り
     でした。ところが,パソコンを開いたと同時に電話がなって,その対応が
     大変でした。実際午前11時くらいまでお客様からの注文や問い合わせの電
     話がとても多かったです。」
  部長:「他の営業部員はどうしていたのか」
  乙 :「他のメンバーが電話に出てくれたのですが,結果的に対応できず,
     私が対応せざるを得なかったのです。」
  部長:「11時以降はどのように業務を行ったのかい」
  乙 :「集計表を作っていると,営業マンの一部から売上げ予定表が不完全なま
     まで提出されているのに気づき,同営業マンから聞き取りをしましたが,
     結局午前中に終わりませんでした。もちろん昼休み返上でした。」
     「午後1時からは,週1回の定例会議です。参加者は部全員です。私は担
     当ではありませんから事前の準備はしていませんでした。発言を求められ
     ましたが,そうですねそのことは重要だと思いますぐらいしか発言してい
     ません。会議は全体的に低調でしたが,予定の時間を大きく超えて,2時
     過ぎに会議は終了しました。」
      「会議の終了時に部長から,3月くらいに検討した販促の資料を出すよ
     う命じられ,3時半くらいまで資料を探していました。」
  部長:「あれ。君から資料をもらったのは今日だったはずだが。」
  乙 :「そうなんです。資料をさがしていたところ,課長から3日前に頼まれて
     いた資料作成をすぐ出すよう言われましたので,その作業を行っていまし
     た。課長はそんなに急がないと言っていましたので,全く手をつけずにい
     たのでまいりました。この後経理課から旅費精算を要求され,旅費精算の
     伝票を作って経理課に持っていたのが6時くらいでした。」「この後集計
     表を作成したのですが,営業部員が戻ってこず,結局7時半までじっと
     待っていましたが無駄足でした。」
  部長:「集計表はどうなったの」
  乙 :「今日朝一番で営業部員から資料をもらい作成し,課長に提出しました。
     部長に資料を持っていたのは,この後です。朝早く出社して資料を探しま
     した。」

相談事例2

組織管理
「いきいき職場づくりで
    辞めちゃうの?」
はじめに 当事務所は,企業の顧問として問題解決を行っている。問題解決は問題に火がつかない段階で処理し,さらに乗り越えるべき問題たる「ハザード」として処理するのが望ましい。本事例も「ハザード」として処理した事例である。
  
1 登場人物 A社;従業員(パートを含む)100名 食品メーカー
 (甲;A社社長(男性),乙;A社事業部部長(男性),
  丙;A社事業部第1課長(男性)「いきいき職場づくり」企画担当,
  丁;A社事業部従業員(女性),戊;A社事業部従業員(女性))
2 事案
 @甲は,昨年「いきいき職場づくり」をテーマに職場の改善を図ろうと試み,
  乙に事業部において試験的に職場改善を行うよう命じた。
 A乙は丙を「いきいき職場づくり」企画担当に命じ,企画の実務に当たらせた。
 B丙は,一人一人が戦力としていきいき働ける職場とはどのような職場か,そして
  そのような職場を実現するためには一人一人が何をすればよいのかみんなで
  考え,みんなで実行するのがよいだろうと考えた。 そこで,事業部の各課長に
  依頼し,課内で議論してもらい具体的な実行テーマを決めるよう依頼した。
 C丙は各課長から聞き取った内容をまとめた。
  (いきいき職場のマイナス要因)
   ・コミュニケーションが悪く,必要な情報の共有がない。
   ・他の人の仕事内容を理解していない。
  (個人でやるべき事)
   ・挨拶をする。
   ・電話には早く出る。
   ・わかりやすく話す。
  (課としてやるべき事)
   ・課内ミーティングを頻繁に行う。
   ・互いのスケジュールを認識し合う。
   ・各人が他の人に自分の仕事を説明する。その為の資料を作る。
 D丙はこの内容を各課で実行するよう各課長に要請した。
 E1年が経過して,丙が各課長から聞き取りをしたところ,以下の失敗と言わざる
  を得ない結果が判明した。
   ・必要な情報の共有は以前と変わらない。
   ・他の人の仕事内容の理解は以前と変わらない。
   ・個人でやるべきことはだいたい行っている。
   ・課としてやるべき事は,かけ声倒れの状態である。
 F丙は甲乙に一年の結果を報告するにあたり,丁丙から意見を聞いた。
  以下は丁丙の意見である。
 G丁:いきいき職場づくりは一時的なキャンペーンと感じました。
    余計な仕事を押しつけられた感じです。マニュアルだって作っただけです。
 H戊:私たちは仕事があまり変わらず,男性から指示されたことをそのままやって
    いるだけでつまりません。いきいき職場づくりと言われたって,余計な仕事
    が増えただけで給料は増えないのだから,うまくいかないのは当たり前です    よ。
 I丁:もっと私たちの仕事のピークオフとか細かな苦労をわかった上で指示して
    欲しいし・・・・・。
 J丁:もうやめてしまおうかな。
 K丙:大げさな言い方は慎むように。
     

相談事例3

「健康診断で異常だけど
     減量できない」
はじめに 当事務所は企業の顧問として各種問題を解決する手伝いをしている。本事案も当事務所の仕事の範囲内である。
 登場する丙を勝手な人物と評価することはたやすい。しかしこの問題を放置するとA社にとって大変な事態を生じさせることになる。
  
1 登場人物 A社;建物のリフォーム工事等を目的とする会社
 (甲;A社社長,乙;A社営業部長,丙;A社営業部員)
2 事案
 @A社は,建物のリフォーム工事等を目的とする会社として近年急成長を遂げて
  いる会社である。同急成長を支えるのはきめ細やかな営業活動である。リフォー
  ム相談会を頻繁に行ったり,潜在的顧客に対し,各種サービスを行ったりとその
  営業手段は多種多様であるが,共通するのは,営業部員がマニュアルではなく,
  真摯に潜在的顧客に対し接することである。
  甲は,「常に真剣勝負」「常有戦場」がモットーであり,各営業部員はこの甲の
  モットー通り,常に全力で営業活動を行っており,これこそがA社の快進撃の源
  である。
 AA社において,営業部員は完全歩合給制の給与体系をとっている。
 B健康診断を行ったところ,営業部員丙において心電図に異常が発見され,要医療
  との診断を受け,薬剤の投与とともに,うっ血性心不全等による突然死の可能性
  を指摘され,塩分の摂取を控え,禁煙をし,減量をするよう指導を受けた。
 C丙は一時的にはたばこの本数を減らしたものの再び増加させ,体重についても特
  に減量を行っていない。
     
相談事例4

「外国人労働者」
はじめに 当事務所は企業の顧問として各種問題を解決する手伝いをしている。本事案も当事務所の仕事の範囲内である。
 外国人労働者を雇う際に善意ないし好意で雇う場合がある。ところがそれが裏目に出る場合がある。企業は社会的責任を意識すべきするだけではだめで,具体的な行動が求めれる。
  
 本事例も対応が必要なものである。
1 登場人物  A社;自動車部品の製造・販売を目的とする会社
 (甲;A社社長,乙;A社従業員(中華人民共和国国籍),
  丙;A社従業員(パキスタン回教共和国国籍)
2 事案
 @A社は外国人研修・技能制度により入国した乙を労働者として雇っている。
 A乙が労働災害に被災してしまった。
 B乙からA社に対し損害賠償請求がなされた。
 CA社は,パキスタン回教共和国国籍を有する丙が働きたいというので面接を
  した。するとなかなかの好青年である事が判明したため,採用した。
  A社は将来中東に進出する計画があるため,丙の採用はいわばモデルケースで
  あった。
 D丙は労働災害に被災してしまった。
 E丙からA社に対し損害賠償請求がなされた。ところが,丙が不法残留外国人で
  ある事が判明した。
    
相談事例5

「我が社が改造したのでは
        ないのに」
はじめに 当事務所は企業の顧問として各種問題を解決する手伝いをしている。本事案も当事務所の仕事の範囲内である。
 ここまで考えて商売をしなければならないのかと思われるかもしれないが,企業の社会的責任は重いものである。この事例でも速やかな対処が必要となっている。
  
1 登場人物 A社;玩具メーカー(甲;A社社長,乙;A社従業員)
2 事案
 @A社は,忍者を模した人形を従来から販売していた。同人形は右手から手裏剣が
  バネ仕掛けで発射される構造になっていたところ,安全のため,バネが弱く設定
  され,仮に至近距離で目に手裏剣が当たっても人体に影響がないように配慮され
  ていた。
  しかも手裏剣自体も鋭利性を欠くよう配慮していた。
 Aところが,忍者そのものではないが,A社の人形が世界的に大ヒットした映画の
  登場人物に酷似していることから,ネット上で話題になった。
 B一部マニアが,A社の人形を不法に改造し,同映画の登場人物としてネット上に
  乗せ,さらに手裏剣の発射部分に強いバネを設置し,かつ同映画の登場人物が使
  用する武器に似せた改造をしたところ,アクセス数が著しいものとなった。
 CA社従業員乙が調査したところ,この不法改造を専門に行っている業者が複数存
  在していること,不法改造された武器が,威力があり,人体に危険が生じる程度
  にまで至っていることが判明した。 これらの事実は直ちに乙から甲に報告され
  た。
 DA社の同人形は,現在売上げが前年比で2倍以上となっており,生産が注文に間
  に合わない状態となっており,A社としては,ライン数を増やして,生産拡大を
  計画している状況である。
     
相談事例6

「こうなれば新事業だ」
はじめに 当事務所は企業の顧問として各種問題を解決する手伝いをしている。
本事案も当事務所の仕事の範囲内である。
 この事案は,本質的な問題は何かからスタートし現実的な解決という問題処理の手順を丁寧に行えば解決する問題である。この種の問題をも解決するには相応のスキルが必要なことを理解していただきたい。
  
1 登場人物 A社;食品加工・卸を目的とする会社
 (甲;A社社長,乙;A社副社長,丙;A社販売部長,丁;A社製造部長,
  戊;A社購買部長)
2 事案
 @A社社長甲は,A社の売上げが長期停滞傾向にあり,かつ利益率が低下傾向にあ
  ることに頭を悩ませていた。そこで,各部長を一同に集めて経営会議を行い,
  各部長からそれぞれ問題点と改善点を発表させた。
 A丙:販売部担当として申し上げる。ずばり我が社の売上げが伸びないのは,顧客
    が求める商品を十分提供できないことにある。販売部としては,顧客が望ま
    ない商品を求める商品の代わりとして販売することで値引きを余儀なくされ
    ている。
 B丁:販売部から売れる商品をもっと出して欲しいとの要望は出ている。しかしこ
    ちらとしては,ラインの変更を変えるには,安定した売上げの需要見通しが
    ないとできない。販売部はあまりに顧客の要望を聞きすぎではないか。我が
    社の独自性をもう少し考慮した販売活動が望まれているのではないか。
 C戊:購買部としても,販売現場の努力不足をあえて申し上げたい。顧客が求める
    商品を提供することは不可能ではないが,問題は価格だ。購買部としては,
    仕入れ価格をこれ以上下げることは不可能に近い状態だ。
 Dここで販売部長丙が不満を漏らし,会議は怒鳴り合いになった。
 E乙:全てが充足した形で業務を遂行することは,経営資源が限られている以上
    無理だろう。お互いを攻撃し合うのはやめよう。
 F甲:みんなが一生懸命やっていることはわかっている。ただ会社の現状を考える
    とじり貧だ。思い切った策も必要ではないか。乙くん。新規の事業を検討し
    てはどうか
     
相談事例7

「提案セールスの落とし穴」
はじめに 当事務所は企業の顧問として各種問題を解決する手伝いをしている。
 本事案も当事務所の仕事の範囲内である。
 提案セールスは現在花形の商売方法の一つであり,既に実践されている企業も
いらっしゃられるはずである。もっとも提案セールスには見逃すことのできない
危険性がある。それを垣間見れる事案である。
  
1 登場人物 A社;住宅メーカー,B社;A社のライバル会社
 (甲;A社社長,乙;A社営業部員,
  丙;顧客。4人家族。家を建てたいと思っている。)
2 事案
 @A社では,個人向けの住宅の販促として提案セールスを営業部員に勧めている。
 AそもそもA社社長甲は,大手住宅メーカーでナンバーワンの営業マンであり,
  その手法は「提案セールス」であり,その名は業界に知れ渡っていた。その後
  甲はA社を設立したのである。
 B乙は,甲にあこがれ,A社に入社したものである。
 C丙が住宅展示場に足を運ぶと,乙はにこやかに丙に話しかけてきた。そして翌週
  の日曜日に再度A社のモデルハウスで丙一家と会う約束を乙は取り付けた。
 D乙は,平日丙の住居を訪問し,丙の妻からいろいろな要望を聞いた。
 E翌週の日曜日に,乙は丙に対し,図面を示した。すると丙の妻から「二階にリビ
  ングを持ってきてと言ったんだけど」と言われた。 乙は慌てず「土地が壇上の
  土地なので,玄関からリビングまで実質的には3階になります。若いうちはとも
  かく,長期間暮らすとなると奥様が大変ですよ。」と専門的なアドバイスを
  した。
  丙はなるほどという顔をしていた。
 Fその後図面に手を入れるとともに,予算の話し合いなど,複数回の話し合い乙丙
  間で行われた。
 G乙はそろそろ頃合いだと思い,契約を前提に話を詰めるよう丙に提案した。
 Hすると丙は「わかりました。しかしまだ他のメーカーに研究もしたいので,
  少し時間をもらえないか」と答えた。
 I最終的には丙はA社のライバル会社であるB社と契約した。
     
相談事例8

「経営再建 〜 
 船頭多くして船山に上る?」
はじめに 当事務所は企業の顧問として各種問題を解決する手伝いをしている。
経営再建も当事務所の仕事の範囲内である。
 経営再建というと法的手段ばかりに目がいく方もいると思うが,実際の現場は法的手段は後知恵的な場合が多い。本事案も登場人物は皆全力で経営再建に取り組んでいる。これに問題の本質を明らかにし,真の問題に迫り,問題を定義づけ,解決までの道筋をつけるという当事務所のスキルが生かされ,経営再建が成り立つものである。
  
1 登場人物 A社;リゾート地で,ホテル,レストラン,ゴルフ場,別荘分譲地
  開発で急成長した会社。しかし長期不況で,購入した事業用地が遊んだ状態に
  なっている。その借入金返済も大きな負担となっている。
 (甲;A社社長,乙;A社役員,丙;A社役員,丁;A社総務部長,
  戊;A社営業部長)
2 事案
 @A社社長甲は,経営不振を打開すべく,役員と各部部長を呼び営業会議を
  開いた。甲は,会議に先立ち,早く抜本的な対策を講じて状況を変えるべく,
  その方向付けをするために,各人に意見を考えておくよう指示した。
 A会議において,乙から,遊休土地の売却の提案があった。しかし,甲は,それは
  一過性の対策であり,売るものがなくなれば万事休すであり,より建設的な意見
  はないかと各人に問うた。
 Bすると丙が,A社の経営体質にメスを入れるべきではないかと意見があった。
  甲がその先を聞いたところ,A社の年功序列主義に弊害があるので,思い切って
  能力主義に変え,有能な人材が活躍できるようにすべきとのことであった。    甲は,それは長期的な課題であるが,より短期的に経営改善の効果がでるものは
  ないかと各人に問うた。
 Cすると戊が,営業力の強化の必要姓を主張した。戊としては,営業の責任者とし
  て責任を感じているとのことであった。但し,長期不況下で即効性のある対策は
  ないとのことであった。
 D乙がコスト削減の議論をすべきと主張した。そして,具体的にどうするのかにつ
  いては,「仕入れを見直す。人手を減らす」等の方法があると付け加えた。
 E乙の「人手を減らす」という意見に対し,丙が,A社が地元の人間を採用してい
  る地域の有力企業という点を軽視してはならず,仮に人手を減らさざるを得ない
  にしても,売る努力をやり尽くしてからではないとならないという意見を提出
  した。
 F乙がやるべき事はどんどんやるべきですと発言したことから,乙と丙との間で
  きな臭い空気となった。
 G場をとりなすべく,甲が未だ発言していない丁に発言を求めた。
  丁は,「あれこれやるのは,どれが効果的かわからないので仕方がないとは思い
  ますが,きちんとしたスジの通った方針がないと現場を無用に混乱させ,現場の
  モチベーションをそぎ,かえって経営不振という事態にならないかという事を心
  配しています」。
 Hこの後,数人から意見が出たが,結局建設的な意見はなく,会議の目的たる今後
  の方向付けの決定には至らなかった。
     
相談事例9

「契約書の落とし穴」
はじめに 当事務所は企業の顧問として問題解決の手助けをしている。本事例も当事務所の仕事の範囲内の問題が含まれている。
 契約書にどのような条項を含めるかについて,法的知識があるだけでは足りず,当該企業の営業について,細部までの情報が必要である。勘違いされている方もいると思うので,強調するが,当事務所が関与する契約書の作成は単に念のためにつくるというものではなく,事業計画の段階から関与し,交渉段階でも適時関与するものであり,経営戦略を創るという要素を有している。
 本事例は,陥りやすい事情が多く含まれている。
  
1 登場人物  A社;食品加工を目的とする会社,B社;A社取引先(商社),
        C社;A社取引先 食品加工・店舗販売を目的とする会社
        (甲;A社社長,乙;A社営業部長)
2 事案
 @A社は創立当初からB社のみと取引をおこない。B社から注文を受け,生産をし,
  納品するという営業を行っていた。
  B社からの注文は多岐にわたり,いわゆる多種少量生産方式をA社は採用して
  いた。
 A不況のあおりを受けたことと,B社内で不祥事が生じたことから,B社からA社に
  対する注文は激減した。そのためA社は打開策を講じる必要が生じた。
 Bそこで,これまでB社との取引で蓄積した独自のノウハウによって独自商品を
  開発し,かつB社以外の会社に「提案型セールス」を行い,新たな販路を確保
  することに方針を定めた。
 C営業努力の結果,A社は年間10億円の受注をC社から受けた。そして継続的な
  契約としてC社作成の契約書に甲はA社代表者として署名した。 A社内部では,
  外部の弁護士に契約書のチェックを依頼してはどうかという意見も出たが,C社
  が契約を急ぐよう要求したこととA社としてはC社との間に信頼関係がある
  ため,何か問題が生じれば,話し合いで解決できると判断した為,外部の弁護士
  に依頼する事はなかった。
 D半年ほどA社とC社の取引は継続した。
 Eところが,C社が一方的に取引の中止を求めてきた。A社代表者甲は,契約期間
  は3年となっているはずだとして,契約書を見てみると,当初は3年となってい
  る箇所が,捨印を利用して,6ヶ月となっていた。
  甲は記憶をたどったところ,「印鑑がきれいに押されていないので再度押印をお
  願いします」とC社担当者から言われたことを思い出した。そして,一旦C社に
  渡した契約書を受け取った時点で内容を確認せずそのまま机の中に保管したこと
  を思い出した。
 Fさらに,B社から,内容証明郵便が届いた。これによると,A社がB社から得た情
  報並びにB社と共同開発したノウハウをB社に無断で使用したものであり,違約
  金を支払うようA社に対し要求するものであった。
  甲はあわててB社との契約書を探したが,見つからなかった。
     
相談事例10

「それを言っちゃ
     おしまいよ」
はじめに 労務の問題は当事務所の得意分野の一つである。労務の問題は各企業の担当者が苦労する場面が多い。企業の側の立場にたつと企業が気の毒な事例を紹介しよう。

1 登場人物  A社;不動産の資産管理を目的とした会社
 (甲;A社社長,乙;A社従業員。丙の上司,丙;A社従業員)
2 事案
 @A社は特に職種を限定することなく丙を採用し,丙を営業部に配属した。
 Aしかし丙は自分の能力を過信過ぎるきらいがあり,上司である乙の指示を無視し
  てその場の思いつきで対外折衝を行うなどの態度が見られた。
 Bそこで上司である乙が営業部における実務知識に関する教育を行ったものの全く
  丙は聞く耳を持たず教育の効果は一向に上がらなかった。又不動産の仲介業者等
  の顧客への訪問に際しても遅刻や間違った説明などのミスを繰り返す為、顧客か
  らの苦情が多く,営業成績も常に最下位であった。さらに営業で外回りをすると
  いう口実で,喫茶店で仕事をサボっているところを他の従業員に何度も目撃され
  ていた。
 CA社は,丙を配置転換し,内勤を主な業務とする管理部へ異動させ,その主な
  仕事であるマニュアル化された単純なデーターの入力作業を行わせた。
  しかし,丙は勤務態度をあらためず,単純な数字の打ち間違いを繰り返した。
  管理部から苦情を受けた乙は,丙に面談したが,全く改善の傾向のない丙にあき
  れてしまい,つい,丙に対し,丙が無能であり,生きていく価値のない人間であ
  ると断言してしまった。
  一方,A社は丙に任せられる仕事がなくなったので,品質管理担当という新たな
  部署を設け,管理部において入力されたデーターをチェックするだけの作業をさ
  せるようにした。但し,同チェックはあってもなくても業務に全く影響のないと
  いうものであった。
 D数ヶ月後,乙が丙を尋ねたところ,丙は「俺をこんな座敷牢に閉じ込めやがっ
  て,なめてんのか」と怒声を荒げた。
 E乙から報告を受けた甲は,丙の解雇もやむなしとして,丙を解雇した。
 Fところが,紛争調整委員会よりA社に対し「あっせん開始通知書」が送付され,
  以後A社は法的紛争に巻き込まれることになった。
 G最終的には,丙がA社から人間的な扱いをされず,いじめにあったあげく解雇さ
  れたと認定され,A社は丙に賠償金を支払うはめになった。
     
相談事例11

「エリート部長の挫折」
はじめに 当事務所は企業の顧問として問題解決のお手伝いをしています。
ところで,社長と話をしていると,雑談的な話の中に大きな問題が顕在することがあります。
 本事案は社長が「MBAホルダーというのは使えないね」とつぶやいたことから,問題が発見された事案です。

1 登場人物 A社;中堅化学メーカー
 (甲;営業部長。MBAホルダー,乙;営業第1課長,丙;営業部員)
2 事案
 @A社は近年売上げが激減しており,A社としては営業部門の強化の方針を採用
  した。
  そして,MBAホルダーの甲を営業部長に抜擢し,営業部門の強化を期待した。
 A甲は,自己が学習した理論を直ちに実践することは,現実的ではなく,かえって
  悪い影響が生ずると考えた。そこで,営業部において,親分肌であった乙課長の
  顔を立てることで,漸次的に改革を行うことにした。
 Bこのような甲の態度に,丙を始め若手営業部員は失望した。彼らは,営業部の
  営業体質が古いと不満を持っており,改革が大胆に行われることを期待していた
  からであった。
 C甲は,現状の問題点として,顧客からクレームが多いこと,特に製品に異物が
  混入している点と,納期が間に合わない点を指摘したところ,乙から,国内他社
  製品に比べれば,A社製品が優れていると反論を受けた。甲は丙らに調査させた
  ところ,乙の認識に間違いはなかった。
 D乙は売上げを伸ばす策として,製品単価の値上げを提案した。
  甲は,前回のこともあって,この案を採用した。
 Eところが,顧客から次々と注文のキャンセルが相次いだ。原因を調査したとこ
  ろ,商社が外国から同種の商品を輸入し,A社より遙かに廉価で販売しているこ
  とがわかった。
  A社は大打撃を被ることになった。
     
相談事例12

「親の七光り
 それとも真打ち登場?」
はじめに 当事務所は,企業の顧問として問題解決の手伝いをしていますが,二代目社長の面倒を見てくれと依頼されることがあります。創業者にとって二代目は頼りなく見えるのが当たり前です。そこで社長としては自分の子飼いの番頭さんを残した形で二代目に会社を継がせる事が多々あります。
 ところが経営は一旦確立したと見えてもすぐに外的要因により変化することを余儀なくされてしまいます。果たして番頭さん達が創業者が引退した後も残ることがよいのか疑問の場合もあります。 本事案もそのような一例です。

1 登場人物  A社;建設資材等の卸会社
 (甲;A社創業者,乙;甲の息子,丙ら3名;A社取締役。甲の親族)
2 事案
 @A社は甲が創業者であり,丙ら3名は甲とともにゼロからA社を業界ないで一目
  置かれる存在とたらしめた功労者であった。
 AA社は,ビスの一本でもすぐに調達するという,顧客重視の経営を行ってきた。
 B乙は,将来A社の社長となるべく幼少の頃から育てられており,A社入社後は,
  甲の方針で,「あまり日の当たらない」分野で頭角を現すようがんばっていた。
  当人のがんばりもあり,乙の経営手腕は,甲のみならず丙ら3人も評価するもの
  であった。
  そのため甲は引退し,乙がA社の二代目社長となった。
 CAは社長就任と同時に,会社の細部を隅々まで見渡した。すると過去にはその地
  域内の工事現場にはA社の社員が顔を出していたが,ここ数年はそのような工事
  現場とのつながりは薄くなり,施工業者の営業マンとの折衝が営業の中心となっ
  ていること,さらに建材費の変動によりいわば投機的な利益により会社が運営さ
  れていることが判明した。
 D乙は極めて危機感を有したが,丙ら3名は,黒字が順調に推移していること
  から,乙の危機感の共有がない。
     
相談事例13

「桐島、部活やめるってよ。
    桐島物産倒産です」
はじめに 取引先が倒産をしてしまい売掛金の回収が図れなかったり,仕事ができなくなったりすることがある。このような場合,早めに当事務所が顧問弁護士として動いていれば結果は変わったのにという事は多い。取引先に予兆があり,時間を前に戻せば打てる手は他にもあったと臍をかんでも遅すぎるということである。     なお表題は映画のタイトルをパクッている。

1 登場人物  桐島物産;A社取引先
 (甲;A社社長,乙;A社従業員)
2 事案
 @A社は桐島物産に対し売掛債権5億円を有している。
 A桐島物産は地域ナンバーワンの商社で,A社にとって最大の得意先である。
 B甲は桐島物産の営業部長と親交があり,麻雀仲間であった。
 C甲は月曜日朝に出社したところ,乙から先ほど桐島物産が破産を裁判所に申立て
  したことを聞かされた。
 D甲は桐島物産の営業部長に電話をしたが,電話が通じない。
 E甲は乙を再度呼び,最近の桐島物産の様子を尋ねた。以下は乙の発言である。
 F乙:私は週に一度は桐島物産を訪れています。気づいたことですが,職場とくに
    エントランスの清潔感が失せてきていました。私と話す桐島物産の社員に聞
    いてみると,社長の体調が悪いのか,不機嫌なことが多く,その社員はなか
    なかの実力者だったのですが家の都合とかで会社を退職していました。黒服
    の男がエントランスに陣取っていたので,受付の女の子に聞いてみても,
    誰かわからないとのことでした。こうなるとはわかっていたら,あの取引は
    しなかったのですが・・・
 G甲は,桐島物産との取引は,通常3億円程度であるのに,破格な条件で桐島物産
  の営業部長から提示された2億円の取引を社長決裁でおこなったことを悔やん
  だ。
     
相談事例14

「医は仁術。」
はじめに 当事務所は医療機関の顧問を引き受けている。中心となるのは外部業者との取引におけるアドバイスや労務問題である。しかし以外に多い問題は患者さんとの関係である。これは医は仁術であることと関係がある。本事案はその一例である。

1 登場人物  A社;自動車部品の製造・販売を目的とする会社
 (甲;Aクリニック院長,乙;Aクリニック受付,丙;患者,丁;患者)
2 事案
 @甲はAクリニックを開業して3年目である。患者も順調にクリニックに訪れるよ
  うになり,経営も安定している。
 A甲は地元に愛されるクリニックを目指し,地元の行事にも積極的に参加してい
  る。
 B甲は,地元の人から何かと相談を受け,「自分は地域の知識人なのだな」と悦に
  入っていた。
 Cある日の午後,昼ご飯を食べてクリニックに戻ると,受付の乙が真っ青な顔をし
  て駆け込んできた。話を聞くと患者の丙さんが「どうしてくれるんだ」と怒鳴り
  込んできたという。
 D甲は,丙は高血圧の持病があることからあまり興奮しない方がいいのにと思いな
  がら,丙を院長室に呼び入れた。
 E丙によると,丁から不動産取引でだまされたとのことであった。
  甲は丁が自分の患者であることはうっすらと思い出したが,何故丙が自分に文句
  をいっているのかなかなか理解できなかった。
 F丙によると,丙は丁から不動産取引を持ちかけられていたことから,そのことを
  甲に相談したところ,丁が甲の知人である事を知らされた。数日後地域の行事に
  参加したところ,甲が丁と仲良く話している姿を見かけ,丙がこれに参加したと
  ころ,丁が不動産取引が順調にいっており,それが甲のアドバイスに基づくもの
  と丁が発言し,甲はそれを否定しなかったので,丙は丁を信用して不動産取引を
  したところ,売買代金を持ち逃げされたとのことであった。
 G甲は丁に話を合わせただけであることを丙に説明したが,丙は一切納得してくれ
  ない。あげくには「出るとこに出ます」とまで言い出すしだいであった。
     
相談事例15

「経営なんて
  医学部で習っていない」
はじめに 当事務所は医療機関の顧問を務めています。相談は多岐に渡るのです
が,各院長先生が口を揃えるのは「医療行為だけに専念したい」ということです。
当事務所は,このような要請に応える体制を有しています。
 経営に関してはわからないのが当たり前です。しかも何が問題なのかすらわからない事が多々あります。本事案はその一例です。

1 登場人物 (甲;Aクリニック院長,乙;Aクリニック事務長,丙;外部業者)
2 事案
 @甲はAクリニックを開業して10年になる。患者数は安定しており,むしろ多す
  ぎる状態で有り、医師を増員する計画もある。
 A甲は医療行為に専念すべく乙を雇い,事務に当たらせた。甲が思った以上に乙は
  働きが良かった。
 Bそのため,甲は乙にいろいろな事を任せるようになり,場合によれば事後報告と
  なることもあった。
 C乙の友人である丙がAクリニックに出入りするようになった。丙は器用であり,
  トイレが不調であれば対処し,パソコンが不調であればこれに対処するという
  具合に,ついでですからといろいろと作業を行っていた。
 D甲は看護師長から,丙が不審な行動をしているとの報告を受け,調査したとこ
  ろ,薬の横流しや,外部業者から賄賂を受領している可能性が高いことに気づ
  いた。
  甲は乙に丙が不正行為をしているのではと問い詰めたが,乙は友人を疑うことは
  できないという。
  甲としては事務長である乙を解雇することもできず,不明瞭なままで幕引きをせ
  ざるをえなくなった。
 Eこの甲の態度を見て,看護師長他数名のスタッフが辞表を提出した。
     
相談事例16

「お客様第1主義の
  はずでしたが・・・。」
はじめに お客様第1主義を標榜する会社は近年多い。A社もその内の1社である。 さてA社並びに甲の対応に問題はなかっただろうか。

1 登場人物 A社;有線放送運営を目的とする会社,B社;A社契約窓口の代理店
 (甲;A社課長,乙;A社カスタマーセンター・オペレーター,丙;中年男性)
2 事案
 @A社は,有線放送運営を目的とする会社である。A社は契約窓口を代理店方式で
  運営しており,B社はその代理店である。
 A中年男性丙から,A社カスタマーセンターに問合せの電話があった。内容は,丙
  は1年前からA社の有線放送を利用しているが,受信料がいつまでたっても銀行
  口座引落にならず,請求書と振込用紙が送られてくる。いつになったら口座引落
  が開始されるかというものであった。
 Bオペレーター乙は,丙がB社を通じて申込みをしており,口座振替依頼書自体は
  A社は受領していないことが判明したので,その旨丙に伝えた。
 Cすると,丙は「お前の会社は,顧客の重要な個人情報を紛失しておきながら,
  代理店のせいにするのか。個人情報の重要性がわかっていないのではではない
  か。仮に私の口座振替依頼書が悪用された場合どうするつもりなのか。社長を出
  せ」と大声で怒鳴った。オペレーター乙は会社で上司とも相談のうえ対処をいた
  しますといって電話を終えた。
 DA社内部で話し合った結果,「毅然とした態度をとるべき」との方針のもと,
  口座振替依頼書がどこかの段階で紛失した可能性は否定できないのでその点は
  謝罪し,仮に口座振替依頼書の紛失で損害が発生した時点で賠償すれば足りる。
  あくまで口座振替依頼書の紛失はA社の責任ではないことを理解してもらおうと
  いうことになった。
 EA社課長甲は,丙と会い,会社の方針を伝えたところ,丙が好ましくない態度を
  とったため,甲も興奮して丙を性格異常者と呼んでしまった。最終的には丙は,
  A社の社訓である「お客様第1主義」の欺瞞をあばいてやると捨て台詞を残し立
  ち去った。
 F丙はまず未払い受信料金については,遠方の指定された郵便局でかつA社の社長
  がいかなければ受け取れない受取人限定現金書留郵便で送られてきた。
  それのみならず,インターネットの著名掲示板に,A社の「お客様第1主義」が
  いかに欺瞞かを,話を膨らませて書き込んだ。さらに丙を性格異常者と呼んだ場
  面の動画もアップされた。
  さらに加えて,正義を愛する県民と大きく書かれた街頭宣伝車まで繰り出され
  た。
 G責任を感じた甲は,丙に謝罪したが,丙は許してくれなかった。そこで期日を
  あらため,甲は丙の要求した「念書」に署名したうえで,少しばかりですがと
  金30万円を手渡した。

    

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